テレワークを活用することで、特定の場所で働くことに縛られない、多様な働き方が可能になりました。特に、大企業を中心に「遠隔地勤務制度」が導入され始めています。
今回のテーマは、働き手から導入の要望が高まっている遠隔地勤務制度についてです。
遠隔地勤務制度とは
遠隔地勤務制度とは、社員がオフィスから遠く離れた地域に住んでいても、テレワークを活用して出勤せずに働ける制度です。従来のように、オフィスへの通勤可能な圏内に居住するということにとらわれず、遠隔地など自由な場所で、多様な働き方を実現できます。実家の介護や郊外での育児、地方移住など、社員のさまざまな事情に柔軟に対応することを目的に導入する企業が増えています。
遠隔地勤務制度の導入例
遠隔地勤務制度の一例を挙げてみます。例えば、「自宅からオフィスまでの距離が100キロ以上、または公共交通機関の乗車時間が2時間以上の遠隔地に住む社員」などと対象が決められています。対象となる距離や時間は、導入する企業それぞれに異なります。
また、賃金形態は遠隔地勤務ではない社員と同等で、出社が必要な場合は出張扱いとなり、交通費や日当は会社から支給される、といった形態がほとんどです。
遠隔地勤務制度を実施する企業は、それ以前からコアタイムのないフレックスタイム制を取り入れていたところが多く、遠隔地勤務にもフレックス制が適用されています。
遠隔地勤務を利用したい理由
遠隔地勤務制度を利用している社員や、そうした制度があればぜひ利用したいと希望する社員の理由として挙げられているのは、下記のような例です。
家族の事情
親族の看病や介護のため実家に帰りたい
パートナーの転勤先についていきたい
子どもの教育のために転居したい など
ライフスタイルの充実
自然の豊かな土地で生活したい
趣味のダイビングや登山のため、海や山の近くで暮らしたい など
![](https://nhs.nito.co.jp/hubfs/Imported_Blog_Media/8cd2b7d7c5574cef46330d3d7552afd2.jpg)
企業側の遠隔地勤務制度の活用理由
遠隔地勤務制度は、社員にとってメリットがあるばかりではありません。企業側にとっても、優秀な人材の確保という点で、重要な制度となっています。
新規採用をする場合においても、地元を離れたくない、生活の基盤を変えたくない、という思いから、通勤圏外を理由に応募をあきらめていた優秀な人材を、全国から広く採用できる機会をつくり出しています。
遠隔地勤務制度にはテレワークの活用が不可欠なため、デジタル人材の確保という点においても有効な手段となっています。
遠隔地勤務制度の難点
遠隔地勤務制度の難点は、テレワークにおける課題と同様です。社員間のコミュニケーション不足や情報のセキュリティ問題、またテレワークに適さない業務があること、労務管理や人事評価が難しい、といったことがあります。
遠隔地勤務制度を導入するには
遠隔地勤務制度の導入にあたっては、先に述べた難点を踏まえたうえで検討することが必要です。
まずは導入の目的を明確にし、公平性を考慮しながら対象業務や対象者を割り出します。そして、遠隔地の定義や賃金形態、オフィスへの出勤が必要な場合の費用負担などについて、しっかりと話し合いましょう。
テレワークを活用した遠隔地勤務制度の導入は、社員のワークライフバランス(仕事と生活の調和)から、さらに一歩進んだウェルビーイング(心身や社会的に健康で良好な状態)の実現を目指すものとなるでしょう。