テレワークの導入は大企業では進んでいるものの、中小企業ではまだ導入に踏み切れないところも多いようです。コロナ禍をきっかけに一度は導入してみたものの、あまりうまくいかず、再び元の働き方に戻ってしまった...、というケースも少なくありません。
そもそも、中小企業にテレワークは向いているのでしょうか。
そこで今回は、中小企業でテレワークを導入した場合、どのようなメリットやデメリットがあるのかをお伝えします。
中小企業におけるテレワーク導入の現状
厚生労働省によるテレワーク実施率の調査結果によると、従業員数が300人以上の企業での導入率は9割以上と高くなっていますが、従業員規模が小さくなるほど導入率が低くなる傾向にあり、実施する予定もないという企業は4割を超えています。中小企業がテレワークを導入しないのは、出勤しないとできない業務であることが一番の理由に挙げられています。
しかし、中小企業でもテレワークの導入に成功している企業があります。テレワークでは無理だと思われていた仕事も、課題を解決することで可能になった、というアンケート結果が出ています。
中小企業がテレワークを導入するメリット
テレワークを導入した中小企業が特にメリットと感じていることに、下記の3点があります。
1. 通勤負担とコストの削減
テレワークの導入により、社員が通勤にかける時間を省略でき、しかも満員電車のストレスから解放されて業務に取り組むことができるようになり、生産性が向上したことです。
また、出勤して仕事をする社員が減ることで、オフィスの業務スペースを縮小でき、その分の家賃や通勤にかかる交通費も削減できます。
2. 自然災害時などへの備え
地震や台風などの自然災害で出社できない事態が起きたとき、テレワークが導入されていれば、自宅で業務を行うことができます。社員の安心・安全を守ることにもつながり、事業が中断して経営が悪化するリスクも軽減できます。
3. 社員の家庭生活の両立と離職防止
働く場所に縛られないテレワークは、ワークライフバランスが実現しやすくなります。社員が出産や育児、介護などの理由で離職してしまうことを防げます。
これから勤め先を選択する人にとっても、テレワークを導入する企業は働きやすく、魅力的な環境に感じます。
中小企業がテレワークを導入するデメリット
テレワークが中小企業に浸透しにくい理由は、以下のようなデメリットを感じるから、と言えるでしょう。
資料の電子化
テレワークを行うには、紙媒体の資料や書類を電子化し、社外からのアクセスを可能にしなければなりません。電子化が進んでいないとテレワークで可能な業務が限られてしまいます。
また、情報漏洩のリスクを防ぐためのセキュリティ対策も万全でなければなりません。
担当業務の公平性
テレワークを始めても、担当業務の振り分けがある程度公平にできていないと、一部の社員だけが出勤しなければならない状況になります。出社して仕事する社員は、テレワークをしている社員の業務まで担うことになるケースもあり、不公平感が生まれてしまいます。
勤怠管理と評価
出社時にタイムカードを押すシステムで勤怠管理をしていた企業にとって、テレワークは社員の労働時間の把握が難しくなる一面があります。
また、テレワークで社員同士が顔を合わせる機会が減り、リーダーや管理職は、勤務態度や業務への取り組みの評価がしにくい、といった点もデメリットです。
中小企業がテレワークを導入する際のデメリットは、発想を転換すれば、その課題をクリアすることで導入を実現でき、メリットに変えることができるでしょう。