街を走る車の中にEVが増えてきたと感じるこの頃、マンションやアパートなどの賃貸住宅にEV充電器の設置を検討するケースが見られます。今回は、賃貸住宅におけるEV充電器の必要性やメリット、将来性について考えます。
賃貸住宅にEV充電器は必要か?
各ハウスメーカーが新築戸建にEV充電器を標準装備としたり、東京都では2025年から新築建造物における設置が義務付けられたりと、EV充電器の普及促進は広がっています。
さらに、経済産業省は2035年までに新車販売を100%電動車とする目標を掲げており、EV充電器は今後ますますの需要が予想されます。
EVの充電は、夜の睡眠中や車を使わない時間の基礎充電がメインとなっています。マンションに駐車場が設けられている場合、この基礎充電ができると非常に便利です。
日常的にEVを利用する人にとって、充電の利便性は大きなポイント。EVの普及に伴い近い、将来に「充電器の有無」が賃貸経営を左右する設備の一つになるかもしれません。
賃貸住宅におけるEV充電器のメリット
安定した賃貸経営には資産価値向上や空室対策は需要な課題です。EV充電器の導入は、これらの課題に応える可能性を秘めています。ここではその魅力をいくつかご紹介します。
1 資産価値の維持
EVの普及が見込まれるものの、現在はマンションにおける充電器の導入はあまり進んでいません。2022年の東京都環境局の調査によると、国内新築マンションの充電器設置状況は1%未満となっています。
今後の普及に先駆けて導入することで、将来的な資産価値の維持につながります。
■東京環境局「EV普及と充電インフラ整備状況について」資料(2022年10月26日)内、「マンションへの充電設置の実情」より
2 空室対策をサポート
EV所有者がマンションを選ぶ際に、「自宅で充電できる」というのは大きな魅力です。立地条件や間取りなど、同じような条件で悩んだ際に充電設備があれば住居を選ぶ後押しとなり、空室対策として有効な手段の一つになります。
普及が進んでいない今だからこそ、他との差別化にもなり賃貸物件のアピールポイントにもなります。
3 需要の伸びが見込める
先に説明したようにEVの普及は右肩上がりが想定されることから充電器の設置の必要性も高まり、導入による将来性は明るいといえます。駐車場を併設している場合は特に早期の検討をおすすめします。
4 賃貸契約更新を後押し
賃貸マンションは長く住み続けてもらうのも安定した経営に大切です。入居者がEVへの買い替えを検討する際に、マンションの駐車場に充電設備がなければ引っ越しを視野に入れる可能性もあります。
入居者が安心してEVへ乗り換えできる環境を整えることも、長期的な入居を支える条件の一つです。
地域によっては補助金も
EVの普及に向けて充電インフラの整備を進めるため、国や自治体が補助金制度を設けており、設備の導入が進めやすくなっています。
経済産業省では令和6年度の補正予算「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」において、集合住宅の充電器設置にかかる機器や工事を補助の対象としています。
他にも、東京都なら充電用コンセントやスタンドなどの機器は半額(機種ごとに上限あり)、設置工事費は上限48〜135万円の助成額を設定するなど、充電器を導入しやすくなっています。
また、導入に向けた現地調査にかかる経費も補助対象となる場合があるので、検討されている賃貸マンションの自治体の補助金を調べてみましょう。
EV充電設備のニーズの高まりが想定され、国と自治体の補助金が受けられる今こそ、賃貸マンションへの設備導入を検討するチャンスです。