イギリスを中心に世界へと広がり始めたのが「フレキシブルワーク」です。本コラムでは、日本でも近年、注目を集めて浸透しつつあるフレキシブルワークについて、解説します。
フレキシブルワークとは?
フレキシブルは英語で「柔軟な」という意味です。フレキシブルワークとは、柔軟で融通のきく働き方のことです。これまでの働き方は、決められた始業時間に社員全員が出社し、フルタイムで規定通りの労働時間を働く、という姿が一般的でした。そうした固定的な働き方と違い、フレキシブルワークは、働く時間や場所、休暇の取り方など「自由度が高い働き方」のことを指します。
フレキシブルワークのいろいろな形態
テレワーク
ICTツールを利用して、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、オフィス以外の場所で仕事をする働き方です。
フレックスタイム
社員が始業時間と終業時間を自由に選択できる働き方です。1週間や1ヵ月といった単位の中で労働時間を調整するフルフレックス制と、必ず就業しなければならない時間帯が決められているコアタイム制があります。
シフト制
24時間体制で稼働している企業などで、就業時間を複数の時間帯に区切り、社員が交代制で働く勤務シフトです。
ジョブシェアリング
例えば、フルタイム1人分の業務を、パートタイム労働者が2人以上で分担して勤務する形態です。
コンプレストワークウィーク(圧縮労働時間制)
1日の労働時間を長くすることで、1週間の出勤日数を減らす制度です。例えば、1週間の労働時間を4日間に凝縮することで、3日間の休日を取れるようになります。
フレキシブルワークが注目されている理由
フレキシブルワークが注目を浴びている理由は、下記のようなメリットがあるからです。社員側と企業側に分けて、メリットをあげていきます。
社員にとってのメリット
時間や場所に縛られない
勤務時間や場所の制約が少なくなることで、育児や介護などと仕事の両立がしやすくなります。
体調管理がしやすい
例えば、フレックスタイムで通勤ラッシュを避けることができればストレスが減ります。また、風邪気味のときに無理して出社せず在宅勤務ができれば、周囲の人に感染させてしまうリスクを減らせます。
プライベートライフを充実できる
プライベートな趣味などの都合に合わせて勤務を調整できれば、適度にリフレッシュでき、それが仕事への活力にもつながります。休暇を、自己向上のための勉強に充てる人もいるでしょう。スキルアップにより、ますます仕事の効率も向上するという好循環が生まれます。
企業にとってのメリット
コストカットできる
同時に出社して仕事をする社員が減ることから、オフィススペースの縮小や交通費の削減ができます。
人材が確保できる
フレキシブルワークを導入することで、社員のプライベートを尊重でき、出産や介護による離職を抑制できます。また、特定の地域に限定されることなく、広域から優秀な人材を採用することも可能になります。
生産性が向上する
働きやすい環境で柔軟な時間に働けることから、社員の心身のストレスが軽減され、仕事への集中力が増し、生産性の向上につながります。
フレキシブルワークを導入するための課題
フレキシブルワークでは、社員がそれぞれ異なる場所や時間帯で働くことが多いため、リアルタイムでのコミュニケーションが減ってしまうことが一つの課題です。また、柔軟に働ける反面、仕事とプライベートの境界があいまいになりやすいため、社員の自己管理能力が求められます。さらに、ITC関連のセキュリティ問題もあります。フレキシブルワークを導入するためには、こうした課題に対する事前準備が不可欠です。
フレキシブルワークは、企業と社員双方にとって魅力的ですが、会社組織のニーズと社員個人のニーズがうまく調整できてこそ可能になることです。どのような制度であれば導入可能か、自社に適した形態を検討してみてください。