これまでの日本のオフィスのレイアウトは、部署やチームで机の島をつくり、責任者の机を全体が見渡せる配置にした「島型対向式」と呼ばれるものが主流でした。 しかし、このレイアウトでは、組織変更があった場合など、大掛かりな変更が必要です。
そこで、組織変更に伴うレイアウト変更の際の時間とコストを削減できるものとして、ユニバーサルレイアウトが広く採用されてきました。
ユニバーサルレイアウトとは
ユニバーサルレイアウトとは、デスクの数や配置を均一にしたレイアウトです。責任者の席は無く、横並びになっているのが特徴で、組織や階層、業務の特性に関係なく誰でも使用可能です。島型対向式レイアウトと違い、組織変更があっても席替えをするだけでよく、レイアウトを変更する必要がありません。
フリーアドレスと、どう違うか
フリーアドレスでは、各自の机が指定されておらず、席を自由に選んで作業ができます。フリーアドレスはオフィスの運用方法のことを指し、ユニバーサルレイアウトはデスクの並べ方のことを指します。ユニバーサルレイアウトでも、席を固定しなければフリーアドレスとして運用することもできます。
ユニバーサルレイアウトのメリット
デスク移動の手間が省ける
ユニバーサルレイアウトなら、急な組織の変更があっても、社員が私物を持って席を移動するだけでよく、時間やコストを削減できます。
備品や私物の管理を効率化できる
同じデザインのデスクや椅子を使用するため、補充しやすいメリットがあります。各自の私物はキャスター付きのサイドワゴンやキャビネットに入れておけば、座席変更時もそれを移すだけで済み、時間の短縮になります。
他部署との連携が取りやすい
部署ごとに座席が区切られていないので、その時々のプロジェクトに応じて、配置を柔軟に変更できます。業務に合わせて環境を変えられるので、他部署とのコミュニケーションが円滑になります。
ユニバーサルレイアウトを導入する際のポイント
家具のデザインを統一する
デスクや椅子は、同じデザインに統一しましょう。同じもので統一されていれば、誰が使っても同じ環境を担保でき、オフィス全体もすっきりした印象になります。
可変式の椅子を選ぶ
組織変更時もデスクを動かすことなく社員が移動するだけでよいユニバーサルレイアウトですが、社員一人ひとりには体格差があります。そのため、特に椅子は高さが変えられるタイプで、ミーティングなどの移動時に便利なキャスター付きのものにするのがポイントです。
ミーティングスペースをつくる
島型対向式レイアウトのようにまとまっていれば、緊急ミーティングの際にも着席したままで行えますが、ユニバーサルレイアウトの場合、メンバーの席が離れていてスムーズなミーティングが難しいこともあるでしょう。あらかじめミーティングスペースが設けられていれば、集まる場所を決める手間もなくスムーズにミーティングを始められます。
ユニバーサルレイアウトの注意点
ユニバーサルレイアウトにもデメリットはあります。部署ごとに区切られていないため、誰がどの部署に所属しているかわかりづらく、チームの一体感が生まれにくくなる可能性があります。ユニバーサルレイアウトに変更後、部署や業務内容によっては、スムーズなコミュニケーションに支障が出て、業務の効率が下がる場合もあります。
ユニバーサルレイアウトを導入した際の環境に不便さを感じることがないか、十分に検討する必要はありますが、組織変更が多い企業ほど、ユニバーサルレイアウトを取り入れるメリットはあるでしょう。