ラックを選ぶとき、「熱を逃がせるように、天井も換気口付きがいいな」「鍵も防犯性の高いダイヤル錠にチェンジしたいな」なんて思いませんか?
そんな「こうしたい!」というご要望を、工場で作る段階からあらかじめ叶えてくれる仕組み。それが、「ラックの組替仕様」です。
今回はラックの購入を検討されている方に向けて、「組替仕様ってそもそもなに?」「届いた後に自分で取り付けるの?」といった基本のギモンから、知っておくと便利なカスタマイズメニューの数々を分かりやすく解説します。
「組替仕様」ってなに?
日東工業の組換仕様は一言でいうと、「工場出荷時のカスタマイズ仕様」のことです。
身近な例でいうと、「車のメーカーオプション」をイメージしてください。 車を買うとき、「サンルーフをつけたい」「本革シートにしたい」といった希望があると、ディーラーは工場でそれらを最初から組み立てた状態で納車してくれますよね。
後から整備工場で付けるのは大変(あるいは不可能)ですが、新車時に頼めばきれいに仕上がります。
システムラックの「組替仕様」もこれと同じです。 ラック本体を注文する際、あらかじめ用意されたカスタマイズ用のメニューを一緒に指定することで、メーカーが工場で希望の仕様に組み立ててから出荷してくれる仕組みです。
よくある落とし穴!組替仕様の注文方法
「『-TS(日東工業の天井板の品名記号)』を見積もりしてください」
実はこれ、車の購入でいうと「『サンルーフ』だけ見積もりしてください」と頼んでいる状態になってしまいます。
これを受けたメーカーや販売店では、以下の確認や「確認のキャッチボール」が発生してしまいます。
-
疑問①「ベースとなるラック本体は何ですか?」
-
「-TS」は日東工業の天井板の品名記号(天井板換気口タイプ)なので、どのサイズのどのラック(ベースとなる機種)にそれを取り付けるのかが決まらないと、お見積もりが作れません。
-
疑問②「新規ラックのカスタマイズですか? それとも既設パーツの交換ですか?」
-
「今使っているラックの天井板が古くなったから、パーツ単体で交換用として欲しい(新規ラックは買わない)」のか、「新しく買うラックをカスタマイズして出荷してほしい(新規購入)」なのかで、手配する製品の型番やルート、金額や納期も異なります。
-
疑問③「ベース機種に、本当に適合しますか?」
-
すべてのオプションが、すべてのラックに合うわけではありません。ベースとなる機種によっては「サイズが合わない」「構造上適合しない」というパターンもあり、確認が不十分なまま手配すると、後から「取り付けられない」というトラブルに発展してしまいます。すでにラックがある場合は、既存のラックの製造番号、品番を確認してご連絡ください。
【保存版】システムラックの「10大組替メニュー」
一般的に、システムラックは熱対策、配線処理、防犯(セキュリティ)など、設置する環境に合わせてさまざまなカスタマイズが可能です。
ここでは、日東工業の代表的なラック「FSシリーズ」を例に、どのような組替仕様が用意されているのか、そのすべてを網羅的にご紹介します。
日東工業の代表的なラック「FSシリーズ」の場合、以下の場所で組替仕様が可能です。カタログの場合は、こちらの51ページからをご覧ください。

① 天井板組替仕様(熱対策・配線・吊り下げ)
ラックの「天井」の部分を置き換える仕様です。
- 天井板換気扇付タイプ(低騒音)[-TK□L]: 熱を逃がすためのファンを天井に装備します。
- 可変式温度調節器付タイプ(機械式[-TK□LP1] / 電子式[-TK□LP2]): 設定温度に合わせてファンを自動でON/OFFさせる、省エネ仕様です。
- 天井板大型ファン付タイプ [-TP・-TPK]: 通常より大きなファンを搭載し、高発熱機器を冷却します。
- 天井板ケーブル引込みタイプ [-TC]: 天井から大量の配線を引き入れるための、保護ブッシュ付きの穴を設けます。
- 天井板アイボルト取付用タイプ [-TB]: 搬入時に吊り下げる際のアイボルト取付用の穴ですが、ラック同士を天井連結する際にも必要になります。
- 天井板換気口タイプ [-TS]: ファンは使わず、メッシュ孔だけで自然に熱を逃がします。
- 天井板なしタイプ [-TN]: 天井の配線ダクトなどと干渉しないよう、あらかじめ天井板を外して出荷します。
- 天井板配線ラダー取付用タイプ [-TCL]: ラック上部に配線ラダーシステム(RDL)を取り付ける際に必要になります。
②ドア(扉)組替仕様(セキュリティ・放熱・操作性)
ラックの「顔」とも言えるフロントドアを変更します。

- ドア左開きタイプ [-DL]: 標準は右開きですが、壁際への設置などに合わせて左開きで出荷します。
- ドアスチールタイプ [-F]: 標準のアクリル窓から、中身が見えないスチール(鉄製)に変更し、プライバシーを高めます。
- ドア換気口タイプ [-DP]: ドア全体にハニカム状の換気穴(メッシュ)を施し、通気性を極限まで高めます。
- ドアデザイン換気口タイプ [-DDS]: 優れた放熱性とスタイリッシュな見た目を両立したドアです。
- ドアダイヤル錠ハンドル付タイプ [-DMH]: 鍵を持ち歩く必要のない、暗証番号式のハンドルです。
- ドアICキーシリンダー付タイプ [-DAK]: ICキーとICシリンダーにより、少ないキーで高セキュリティ且つ多彩な運用が可能になります。
- ドアハンドル鍵番号違い・NTAタイプ [-DK70□]: 通常の共通キーではなく、ラックごとに鍵番号を変えてセキュリティを高めます。
- 両開きドア(アクリル窓[-DW2] / 換気口[-DP2] / スチール[-DF2]): 観音開きにすることで、狭い通路でもドアの開閉がスムーズにでき、作業性もアップします。
- ドアなしタイプ [-DN]: ドアを一切取り付けない、経済的なオープン仕様です。
- 窓付(前面ドア)タイプ [-W・-WG]: 防塵タイプのラックなどに、内部を監視できる透明窓を設けます。
- キーボードユニット付タイプ [-Y・-YG]: ドアを閉めた状態のまま、引き出してキーボード操作ができるユニットを標準装備します。
③側板組替仕様(放熱・連結・セキュリティ)
ラックの「側面」の板をカスタマイズします。

- 側板全面換気口タイプ [-SA]: 側面から空気をたっぷり取り込める、メッシュ孔付きの側板です。
- 側板下部換気口タイプ [-SL]: 下部から冷気を取り入れ、煙突効果で天井ファンから熱を逃がす仕組みに最適です。
- 側板鍵付タイプ [-SK]:鍵(カムロック)付きに変更して、横からの不正アクセスを防ぎます。
- 側板鍵付鍵番号違い・NTAタイプ [-SK70□]: 側面の鍵を独自の鍵番号に変更し、防犯性を高めます。
- 側板ねじ止めタイプ [-SON]: 側板をねじでガッチリと固定し、簡単には外せないようにします。
- 側板なし連結タイプ [-SR]: 複数台を横に並べて連結する際、間にある不要な側板をあらかじめ省き、連結金具をセットにして出荷する賢い減数仕様です。
④ 背面板組替仕様(背面アクセス・放熱・鍵)
ラックの「後ろ」の板やドアを変更します。

- 背面ドア(左開き[-RDL] / アクリル窓[-RDM] / 換気口[-RDP] / スチール[-RF]): 通常は1枚の鉄板(背面板)ですが、後ろからもメンテナンスしやすいよう「背面ドア」に変更して出荷します。
- 背面板換気口タイプ [-RS]: 背面の板に換気穴を設けます。
- 背面板換気扇付タイプ(低騒音)[-RF□L]: 背面から強制的に熱を排気するファンを取り付けます。
- 背面両開きドア(換気口[-RDP2] / スチール[-RDF2]): 背面の観音開きドア仕様です。
- 背面板鍵付タイプ [-RK] / 鍵番号違い [-RK70□]: 背面板に鍵をかけてロックします。
- 背面板ねじ止めタイプ [-RON]: 背面板をねじ固定にして外せなくします。
- 背面板なしタイプ [-RN]: 後ろ側の板を取り付けずに出荷します。
⑤ 基台組替仕様(地震対策・土台の補強)
ラックを支える「足回り」を強固にします。

- キャスター・レベルフット用ベース付タイプ [-BCF]:タップ加工なしでキャスターやレベルフット(アジャスター)を同時に取り付けるための、高さ50mmの専用土台です。
- スタビライザ キャスターなしタイプ [-BS□]:アンカー固定ができない床において、足元から鉄板(プレート)を張り出してラックの転倒を防ぐ、キャスターなしの基本セットです。
- スタビライザ キャスター付タイプ [-BSF□]:転倒防止用のスタビライザプレートに加え、移動用キャスターと固定用レベルフットが最初からすべてセットになった全部入りの仕様です。
- スタビライザ キャスターなしタイプ〔FSA用〕 [-BSD□]:工具不要で柱を動かせるネットワークラック「FSAシリーズ」の底面開口形状に合わせて専用設計された、キャスターなしのスタビライザ仕様です。
⑥ ブラインドベース組替仕様(床下の配線処理)
床下からのケーブル引き込みをスムーズにします。

- 3分割タイプ [-BP]: 底面のプレートを3つに分割し、配線作業時に必要な部分だけを外せるようにします。
- 配線カバー付タイプ [-BPC□]: 配線引き込み口に保護用のカバーを取り付け、ケーブルの傷付きを防ぎます。
⑦ コンセント組替仕様
ラック内部の電源環境を最初から整えておきます。

- コンセントバー(ファクトライン)付タイプ [-L□R]:ラック後部コーナーに設置されるため非常に省スペースです。高さ方向の自由な位置にコンセントをスライド移動させて、機器の近くでスマートに給電できます。
- 左右コンセントバー(ファクトライン)付タイプ [-L□WR]:ファクトラインの電源コンセントを、ラック内部の左右にそれぞれ設けた仕様です。
- コンセントバー(RD81)付タイプ [-CP□]:125V15Aコンセントバーを1本、あらかじめラックに実装する組替仕様です。6口、10口、16口から選択できます。
- 左右コンセントバー(RD81)付タイプ [-CP□W]:上記「RD81」コンセントバーを左右背面に取り付けた、電源冗長化用のダブル仕様です。
- コンセントバー取付金具(ねじ固定式)付タイプ [-CTKS]:ねじで固定するタイプのコンセントバーを複数系統取り付けるための専用金具(RD82-1SK)を、右背面に標準セットします。
- 左右コンセントバー取付金具(ねじ固定式)付タイプ [-CTKSW]:ねじ固定式コンセントバー用の取付金具を、左右背面に合計2セット取り付ける仕様です。
- コンセントバー取付金具(ペグ固定式)付タイプ [-CTKP]:APC社製などの「インテリジェントPDU」を、工具を使わずワンタッチで引っ掛けて固定できる「ペグ式(突起をはめ込むタイプ)」の取付金具(RD82-1PK)を右背面にセットします。
- 左右コンセントバー取付金具(ペグ固定式)付タイプ [-CTKPW]:インテリジェントPDU用のペグ固定式金具を、左右背面に合計2セット取り付ける仕様です。
- マルチオプションブラケット付タイプ [-CTK2]:コンセントバーやPDUの取り付けはもちろん、通信用のDリング・Lリングキットなど配線用の整理オプションも並べて固定できる、多機能な金具を右背面にセットします。
- 左右マルチオプションブラケット付タイプ [-CTK2W]:多機能なマルチオプションブラケットを、左右背面に合計2セット取り付ける仕様です。
⑧ マウントアングル組替仕様(機器の固定用レール)
サーバーや機器を固定する、ラック内部の柱の仕様変更です。

- ケージナット用アングルタイプ(前面[-ME] / 前後[-2ME]): ネジ穴(タップ穴)ではなく、サーバー類の固定に世界的に広く使われている「四角い穴(ケージナット用)」に柱の仕様を変更します。
- エアシールド付タイプ [-MAS]: ラック内部の「冷たい空気(吸気)」と「熱い空気(排気)」が混ざって冷却効率が落ちるのを防ぐ、遮風板(シールド)を取り付けます。
- 前後マウントアングルタイプ [-2E]: 通常は前側だけの柱を、後ろ側にも追加して、前後4点で機器をガッチリ固定できるようにします。
⑨ 底面組替仕様(足元の簡易移動・固定)
ラック単体の底面の仕様です。

- キャスター付タイプ [-C]: ラックを転がして簡単に搬入・移動できるよう、足元に車輪(キャスター)を取り付けます。
- キャスター・レベルフット付タイプ [-CF]: 高さ調整用のアジャスター(レベルフット)を底面に直接セットします。
⑩ 内装組替仕様(配線整理)

- ケーブルホルダー付タイプ [-CH□]: ラック前面のフレーム部分に、ツールレスで脱着可能な配線整理用リング(ケーブルホルダー)を左右に標準装備して出荷します。
ご注意:組替仕様を検討する際の「2つの大原則」
組替仕様を提案・選定する際には、以下のルールを絶対に忘れないようにしましょう。
注意①:納品後に「やっぱり現地で組み替えたい」はコスト、納期が組み換え仕様よりも割高になる
納品した後に「やっぱりドアの開きを反対にしたい」「天井にファンを付けたい」となっても、現地での組み換えは可能です。ただしコスト、納期が組替仕様よりも割高になります。発注前に仕様を確定させる必要があります。
注意②:対応している「ベース機種」が限られている
すべてのカスタマイズが、すべてのラックで選べるわけではありません。
例えば、ドアの組み替えや側板の変更などは、「スタンダードなスチールラック
(FSシリーズなど)には対応しているけれど、防塵タイプ(FSB)や、小型ラック(FVシリーズ)、アルミラックなどには適合しない」といった細かい制約があります。
適合外の組み合わせを手配することもできますが、コスト納期が割高になり、都度問い合わせ頂く必要がでてきます。
日東工業の情報通信関連デジタルカタログでは、ページ右側に「適応機種」の表があります。下記だと、青く塗られたものが適応機種になります。
迷ったら、Web選定ツール「ラクスタ」が圧倒的に便利!
「品名記号の組み合わせが複雑で、本当に適合するか調べるのが大変…」 そんな時、手配ミスをゼロにするための心強い味方が、日東工業が提供している無料のWeb選定ツール「ラクスタ(ラック選定ガイド)」です。

「ラクスタ」のご利用方法
ベースとなるラック本体を画面上で選ぶ。

「ドアをアクリルからスチールに変えたい」「天井にファンをつけたい」といった希望の組替仕様を選択する。

上気が完了すると、システムが「ラック本体 + 組替仕様の価格」を出力してくれます。

適合しない組み合わせは最初から選択できないようになっているため、カタログの細かい適合表を確認する必要がありません。 見積もりや発注をご検討の際は、ぜひ「ラクスタ」をご利用ください。
(■ご注意:ラクスタに対応していない組替仕様もあります。)
●日東工業の情報通信関連デジタルカタログはこちら
●ラック選定ガイド「ラクスタ」はこちら
●お問い合わせ先
日東工業株式会社のラックをご検討の方、お問い合わせはこちら
※本コラムは日東工業の技術資料・ご注意事項を基に構成しています。
実際の条件は、会社や注文時の契約内容、商品、地域によって異なる場合がありますので、必ず販売店や営業担当者にご確認ください。
※記載されている会社名、製品名、システム名は、各社の商標または登録商標です。
※当社が AI サポートサービスを利用し生成した文章を含みます。