EVの寿命は、すなわちバッテリーの寿命です。バッテリーだけを交換すればよいのでは?と思うかもしれませんが、バッテリーはEVの本体価格のうちの3~4割を占めるほど高額なもの。車種によっては交換に数百万円かかることもあります。
そんな高価なEVのバッテリーをできるだけ長持ちさせるコツについて解説します。
EVバッテリーとは
ここで言うEVバッテリーとは、主にEVの駆動用に使われる大容量のリチウムイオン電池のことです。リチウムイオンが正極と負極の間を行き来することで、何度も充放電を繰り返せる仕組みになっています。
EVバッテリーの容量は、電力を1時間使用した電力量のkWh(キロワットアワー)で表します。車種によって異なりますが、一般的には35 kWh〜80kWh程度、小型車で20kWh程度、大型車は80kWh超もあります。
EVバッテリーの寿命
一般的に、バッテリーの寿命は、容量がおおよそ70%を切った時と言われています。
自動車メーカーのバッテリーの保証制度では、「8年以内」または「走行距離16万㎞以内」としているところが多く、この範囲内でバッテリーの容量がおおよそ70%を切った場合には修理や交換の対象となります。つまり、それぐらいが寿命の目安と考えられているということです。
EVバッテリーの劣化の原因
EVバッテリーは、次のようなことが原因で劣化します。
〇充放電の繰り返し
EVバッテリーは、充放電を繰り返すことで電極材が剥離し、反応量が低下することによって劣化が進みます。
〇過充電や過放電
満充電後も充電し続ける過充電や、使用していない間や充電がなくなっても放電し続ける過放電によっても、EVバッテリーの劣化が進みます。
〇高温環境や急速充電の多用
EVバッテリーは60℃以上の高温環境に弱く、高温になると内部で過剰な反応が起こり、劣化を進めます。また、高電流や高出力の充電を繰り返すことで、バッテリーの劣化を早めます。
EVバッテリーを長持ちさせるコツ
EVバッテリーを長持ちさせるには、次のようなポイントがあります。
〇充電率を20%~80%程度に保つ
バッテリーの劣化を早める過充電や過放電を避け、充電率を20%~80%程度に保つようにすることで、バッテリーの寿命が延びます。
〇普通充電器と急速充電器の使い分け
急速充電器は大きな電流が流れます。車側で保護機能は働きますが、バッテリーの温度が高温になり劣化が進む原因になるため、できるだけ普通充電器を使用することで、バッテリーの寿命が延ばせます。
〇高温の環境に置かない
直射日光の当たる場所でEVを長時間駐車していると、熱に弱いバッテリーの劣化を早める原因になります。特に夏の炎天下では、日陰や屋内駐車場など、できるだけ涼しい場所で駐車することをお勧めします。
〇なめらかな運転を心がける
運転時の急激な電力の出し入れは、バッテリーを発熱させ、劣化を早める原因になります。長時間スピードを出して走ることや、急加速や急ブレーキを避け、なめらかな運転を心がけることで、バッテリーの寿命を延ばすことができます。
近年では熱に強いバッテリーも実用化されており、新しいEVでは高温環境での劣化も進みにくくなっています。劣化の原因をなるべく避けた使い方を心がけることで、さらにEVの寿命を延ばすことができるでしょう。