EVトラック充電の未来：環境に優しい物流の実現

近年、地球温暖化対策への関心の高まりから、自動車の電動化が急速に進んでいます。特に物流業界においては、EVトラックの導入が環境負荷の低減に不可欠な要素となりつつあります。

しかし、EVトラックの導入にあたり、多くの事業者が懸念するのが「充電インフラ」と「充電にかかる時間」です。本コラムでは、EVトラックの充電に関する基礎知識から、現在のインフラ整備状況、そして未来の物流がどのように変化していくのかを解説します。

EVトラックの基礎知識

EVトラックとは？

EVとは、Electric Vehicleの略で、ガソリンや軽油ではなく、搭載されたバッテリーに蓄えられた電力でモーターを駆動させて走行するトラックです。走行中にCO2を排出しないゼロエミッション車として、環境に優しい物流を実現します。

商用におけるEVトラックの役割

商用分野におけるEVトラックの役割は多岐にわたります。特に「ラストワンマイル」配送や、定時・定ルートの輸送を行うトラックは、走行距離が予測しやすく、計画的な充電が可能です。騒音や排ガス規制が厳しいエリアでの運用にも適しており、現代の物流においてその重要性が高まっています。

急速充電と中速充電、普通充電の違い

EVトラックの充電には、主に「急速充電（中速充電含む）」と「普通充電」の２種類があります。

急速充電：高出力で短時間に大量の電力をバッテリーに送り込む充電方法です。主に長距離移動の途中や、業務の合間に迅速な充電が必要なトラックに使用されます。
中速充電：急速充電よりも低コストに、普通充電よりも短時間の充電方法です。急速充電と普通充電の中間の製品です。
普通充電：比較的低出力で時間をかけて充電する方法です。主に夜間や車両が長時間滞在するデポ（車庫）などで使用され、バッテリーへの負荷が少なく、長期的なバッテリー寿命の維持に貢献します。

急速充電器の仕組みとその利点

急速充電器は、交流（AC）電源を直流（DC）に変換し、急速にバッテリーに電力を供給する仕組みです。

●利点

商用車では大容量バッテリーを効率よく満たすために、高出力の急速充電規格（例：CHAdeMO）に対応した充電インフラの整備が求められます。

ただし、導入には高額な費用、運用には普通充電器よりもコストがかかります。

中速充電器の仕組みとその利点

中速充電器は、弊社の場合は交流（AC）電源と直流（DC）電源の両方に適応でき、急速充電器よりもコストが安く、普通充電器よりも急速にバッテリーに供給できる仕組みです。

●利点

ただし、希望する出力かを確認する必要があります。

普通充電の仕組みとその利点

普通充電は、交流（AC）電力をバッテリーに電力を供給する仕組みです。

●利点

ただし、満充電までに数時間から一晩を要するため、運行スケジュールとの調整が必要です。

充電ステーションの普及状況

現在、EVトラックの充電インフラ整備は乗用車に比べて遅れているのが現状です。特に都市間物流の幹線道路沿いにおける充電ステーションの拡充が、今後のEVトラック普及の鍵を握ります。

自治体や政府の助成制度

EVトラックの導入や充電設備の整備に対しては、国や自治体が提供する補助金制度は、例えば高額になりがちなEVトラック本体や、充電インフラの初期導入コストを大幅に軽減するものです。これらの制度を積極的に活用することが、EVトラック導入の大きな後押しとなります。

費用対効果の検証

燃料費の削減、税制優遇、補助金といった経済的なメリットは、EVトラック導入の大きな動機です。特に、夜間充電などを活用した充電コストの管理は、ランニングコスト削減に大きく寄与します。

準備と手順

EVトラックの充電は、安全管理が重要です。

充電にかかる時間と効率化のポイント

充電時間は、バッテリー容量、充電器の出力、そしてバッテリー残量（SOC）によって大きく変動します。

充電時間：大容量バッテリーを搭載するEVトラックでは、高出力の急速充電器でも、80%までの充電に数十分～1時間以上かかることがあります。
効率化のポイント
1. 継ぎ足し充電: 完全にバッテリーを空にせず、業務の合間にこまめに充電する「継ぎ足し充電」が効率的です。
2. デポでの活用: 走行を終えた夜間に、安価な電力で普通充電を計画的に行うことで、日中の充電負荷を軽減します。
3. スマートチャージング: AIなどを活用し、電力需要の低い時間帯を狙って自動で充電を行うシステムも導入され始めています。