電気自動車（EV）の走行距離はどのくらい？

電気自動車（EV）への関心が高まる中、多くの人が抱く疑問の一つが「電気自動車走行距離」でしょう。「一度の充電でどれだけ走れるのか？」は、電気自動車（EV）選びに一つの判断基準です。このコラムでは、電気自動車の走行距離に焦点を当て、その基本から最新の情報、そして実際の利用シーンでのパフォーマンス・走行距離までを詳しく解説します。

電気自動車（EV）走行距離の基本

航続距離とは？

電気自動車（EV）の「航続距離」とは、バッテリーが満充電の状態から、電力切れになるまでに走行できる距離のことです。この数値は、主に国土交通省が定める「WLTCモード」という国際的な基準で測定・公表されています。WLTCモードは、市街地、郊外、高速道路の各走行パターンを平均的な使用時間配分で構成しており、従来の測定方法（JC08モードなど）よりも電気自動車の実際の走行距離に近い数値とされています。

電気自動車（EV）と内燃機関車の違い

ガソリン車などの内燃機関車が燃料満タンで走れる距離は、燃費と燃料タンク容量で決まります。一方、電気自動車の走行距離は、バッテリー容量（kWh）と電費（Wh/kmまたはkm/kWh）で決まります。

内燃機関車: 給油が短時間で済む。燃料残量が少なくても給油所が多いため安心感がある。
電気自動車: ゼロエミッションで静か。走行距離はバッテリー技術の進化と共に伸び続けているが、充電時間と充電インフラが課題です。

車種別の航続距離

電気自動車の走行距離は、車種のカテゴリーや搭載されているバッテリー容量によって大きく異なります。ここでは、主要な国産EVと輸入EVの航続距離（WLTCモード目安）をご紹介します。

国産車の航続距離

近年の国産電気自動車は、日本の道路事情や利用シーンに合わせた実用的な走行距離を実現しています。

軽EV：日産・サクラや三菱自動車・eKクロスEVなどが代表的です。これらのモデルのWLTCモード航続距離は180km前後が目安となっており、主に日常の買い物や通勤といった都市部での利用に最適化されています。
コンパクト/ハッチバック：日産・リーフなどがこのカテゴリーにあたり、その航続距離はグレードによって322kmから450km程度となっています。初代から続く実績があり、電気自動車（EV）の普及に大きく貢献してきたモデルです。
SUV/クロスオーバー：トヨタ自動車・bZ4Xやスバル・ソルテラといったモデルが該当し、WLTCモード航続距離は430kmから500km未満と、比較的長くなっています。これは長距離移動やファミリーでの利用にも対応可能な走行距離であり、幅広いニーズに応えることができます。

輸入車の航続距離

輸入電気自動車（EV）は、一般的に大容量バッテリーを搭載しているモデルが多く、航続距離が長い傾向が見られます。

テスラ・モデル3/テスラ・モデルY：航続距離は450km～550km超に及びます。これは、優れた電費性能と大容量のバッテリーによるもので、長距離走行のパフォーマンスに優れています。
フォルクスワーゲン・ID.4：WLTCモード航続距離の目安は424～434km前後です。欧州車らしい安定した走行距離と実用性のバランスが取れています。
ヒョンデ・IONIQ 5：こちらも航続距離は498km～600km前後と長いです。斬新なデザインに加え、高い急速充電性能も特長としています。

これらのデータから、現代の電気自動車は、ライフスタイルに合わせて、短距離移動特化型から長距離移動対応型まで、多様な走行距離のモデルを選べるようになっていることがわかります。（数値はグレードや装備により変動します。）

バッテリーと充電の影響

バッテリー性能の進化

電気自動車の走行距離を左右するのは、搭載されているリチウムイオンバッテリーの性能です。近年の技術革新により、バッテリーは「高エネルギー密度化」が進んでいます。これは、バッテリーが同じ体積・重量でもより多くのエネルギーを蓄えられるようになったことを意味します。この進化こそが、電気自動車（EV）の航続距離を飛躍的に伸ばしている最大の要因です。将来的には、全固体電池などの新技術により、さらなる電気自動車（EV）走行距離の向上が期待されています。

充電インフラの現状

電気自動車の走行距離が長くなっても、充電インフラがなければ不安は残ります。現在、全国各地で充電スタンドの整備が急速に進んでいます。特に高速道路のサービスエリアや道の駅、商業施設などでの設置が増加しています。自宅での基礎充電に加え、外出先での「目的地充電（宿泊施設や商業施設の充電器）」や「経路充電（急速充電器）」が電気自動車の利便性を高めます。

実際の利用シーン

WLTCモードの走行距離はあくまで目安です。実際の電気自動車の走行距離は運転の仕方や走行環境、気候によって変動します。

日常利用での実際の航続距離

通勤・買い物: 人の日常的な移動距離は、往復で数十km程度です。この場合、ほとんどの電気自動車が一回の満充電で数日分の移動をカバーできます。
エアコン・暖房: 特に冬場の暖房はバッテリーを消費しやすく、走行距離が短くなることがあります。

長距離移動におけるEVのパフォーマンス

高速道路: 高速走行はエネルギー消費が大きくなるため、一般道に比べて走行距離は短くなる傾向があります。WLTC値の7〜8割程度を目安にすると良いでしょう。
計画的な充電: 長距離移動では、電気自動車の走行距離を最大限に活かすため、途中の急速充電スポットを事前に把握し、休憩と充電をセットで計画することが、快適なドライブの鍵となります。