電気代の支出の増加で、気になる料金の内訳の一つに「燃料費調整額」があります。
日本のほとんどの電力会社の電気料金の項目に入っています。
今回のコラムの内容は、電気料金の内訳と燃料費調整額とはどういうものかについてです。
電気料金の内訳
電気料金は主に次の4つで構成されています。
①「基本料金」
使用電力量によらず毎月支払う料金
『基本料金単価(円/kW)×契約電力(A・kVA・kW)×力率割引(割増)』
②「従量料金」
使った電力量分だけ払う従量料金
『電力料金単価(円/kW)×使用電力量(kWh)』
③「燃料調整額」
燃料サーチャージ
『燃料費調整単価(円/kWh)×使用電力量(kWh)』
④「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」
再エネ普及に必要な負担金
『再エネ賦課金単価(円/kWh)×使用電力量(kWh)』
上記の①のみが固定費で、②③④は変動費です。
法人の契約電力
法人の契約電力の種類には次のようなものがあります。
「低圧」 50kW未満 家庭や店舗など
「高圧小口」 50 kW~500 kW 小規模な工場、倉庫、オフィスビル、コンビニなど
「高圧大口」 500 kW~2000kW 中規模の工場、倉庫、オフィスビル、スーパーなど
「特別高圧」 2000kW以上 大規模な工場、倉庫、病院、商業施設、オフィスビルなど
低圧と高圧小口は、実際の電気使用量に基づいて料金が決められる「実量制」です。
高圧大口と特別高圧は、自社の電気使用量や使用設備などを基準として、協議によって契約電力を決める「協議制」です。
「燃料調整制度」とは
日本のエネルギーの4分の3を賄っている火力発電は、使用する化石燃料(原油・LNG・石炭)のほとんどを海外からの輸入に頼っています。そのため、輸入先の国々の政治経済の情勢によって価格変動があり、固定料金では燃料が高騰したときに発電事業者が大きな損失を受ける可能性があります。そうした事態から事業者を守るために1996年に設けられたのが燃料調整制度です。
「燃料費調整額」とは
燃料費調整額とは、燃料調整制度により、輸入する火力燃料の価格変動を迅速に反映させるため、その変動に応じて、毎月自動的に電気料金を調整し、加算されたり差し引かれたりして計算される料金です。
算定期間の平均燃料価格が基準燃料価格を上回った場合はプラス調整され、下回った場合はマイナス調整されます。
燃料費調整額の算定
燃料費調額は「燃料費調整単価」に「その月の電力使用量」をかけることで求められます。
『燃料費調整額(円)=燃料費調整単価(円)×1ヵ月の電力使用量(kWh)』
燃料費調整単価は使用電力量1kWhあたりの燃料費調整額の金額で、この単価は毎月変動し、財務省の貿易統計に基づいて計算されています。
電力使用量が多ければ、燃料費調整額も比例して大きくなります。
燃料費調整額の上限
燃料費調整額の上限とは、算出に用いる平均燃料価格の上限のことです。
特別高圧や高圧の電力契約には上限が設定されておらず、低圧の場合は料金プランに上限があるものとないものがあります。燃料費調整制度のプラス補正で、平均燃料価格の上限を超えた分は電気料金に反映されません。しかし、一部の電力会社で上限を撤廃したところもあり、燃料費調整額の高騰は今後も続く見通しです。
電気代の支出が増えた主な要因は、原材料のエネルギー価格の値上がりです。日本の電源構成は約7割が火力発電で、その燃料を海外からの輸入に依存しています。燃料費調整額には原材料の高騰が大きく影響することに、留意しておきましょう。