「また盤の中、結露してる・・・」
前・中編では、空気中の水分に関する基本的な知識と、それらが盤内の機器に与える影響について解説しました。 後編では、盤内の結露の発生とリスク、結露から盤を守るための具体的な対策方法を詳しく解説していきます。
盤内の結露発生のメカニズム
それでは、盤内で結露が発生するのはどんなときでしょうか。主な原因について解説します。
湿度変化
雨天時や梅雨時期など周囲の湿度が高い場合は、盤内に水分が侵入しやすくなり、結露が発生しやすくなります。夏場では、盤内の冷たい機器やキャビネットの表面に結露が発生することがあります。(夏型結露)
温度変化
気温の変化や盤内機器の発熱により盤内の温度が変動し、結露が発生しやすくなります。特に、冬場の外気温が低い時期や、夜間から朝方にかけて気温が急激に低下する際に結露が発生しやすくなります。(冬型結露)
換気不足
盤内の換気が不十分な場合、湿気がこもりやすく、結露が発生しやすくなります。
盤に結露が発生する事例
夏型結露
夏場の高温多湿な時期に、冷たい飲み物を入れたグラスや、地下室の壁、あるいは金属製の盤などに発生する結露のことです。
例えば…梅雨の時期に夜、雨が降り、日中に晴れて、地面や基礎から蒸発してでてきた高温で湿った空気が盤の中へ入り、盤の中の冷たい金属部分や機器に触れることにより結露が発生します。

冬型結露
冬季に窓ガラスや壁など、外気に触れる冷たい表面に発生する結露のことです。
例えば…日中に晴れて、盤の中が温かく少し湿った空気で満たされており、夜に外気温が低い場合、盤の内側表面に結露が発生します。

結露によるリスク
結露は、盤にさまざまなリスクをもたらします。
機器の誤動作・故障
水滴が内部の機器の電気回路に付着することで、短絡事故や漏電事故に繋がるおそれがあります。短絡や漏電により機器の誤動作や故障を引き起こします。
絶縁不良
結露により絶縁性能が低下し、感電や火災のリスクが高まります。
システム停止
盤の故障は、生産ラインの停止や設備の機能停止を引き起こし、大きな損害をもたらす可能性があります。
メンテナンスコスト増加
結露による腐食や故障は、修理や部品交換などのメンテナンスコスト増加につながります。
効果的な結露・湿度対策
結露によるリスクを低減するためには、以下の対策を総合的に実施することが重要です。
キャビネットの密閉化
盤の筐体の密閉性を高め、外部からの湿気侵入を抑制します。パッキンやシーリング材などを適切に使用し、隙間をなくすことが重要です。
盤内温度の管理
盤用ヒーターなどを用いて、盤内の温度を露点温度以上に保ち、結露の発生を抑制します。温度センサーと連携させることで、より効果的な温度管理が可能です。
盤内湿度の管理
盤用除湿器などを用いて、盤内の湿度を適切なレベルに保ちます。除湿剤や調湿材なども有効な手段となります。
盤の換気
換気扇付ルーバーやルーバーなどを設置し、盤内の換気を促し、盤内と盤外の温湿度差を近づけることで結露の発生を抑制できます。フィルター付きのルーバーを使用することで、塵埃の侵入を防ぐこともできます。
湿度モニタリング
湿度センサーを用いて、盤内の湿度を監視し、異常を早期に検知します。湿度データの記録・分析を行い、適切な対策を講じることで、結露発生を予防することができます。
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