制御盤が、突然のトラブルで停止!その原因が「結露」だった、という経験はありませんか?制御盤は、生産ラインやインフラを支える上で欠かせない存在です。
しかし、外部環境の影響を受けやすく、特に湿気は電気回路や電子部品にとって大敵。結露による誤動作や故障、さらには火災といった深刻な事態に発展する可能性も秘めています。
そんな制御盤を守るための、効果的な湿度・結露対策についてご紹介します。
対策方法は状況に応じて、4つの対策方法があります。
それぞれメリット、デメリットを紹介していきます。
盤の密閉
まずは入出線口や換気口などから、盤内に水が浸入しないことが大切です。
コーキングやパッキンなどを使用して、施工上のトラブル事例を参考に正しい施工を行ってください。
換気
換気扇による湿度対策は、空気の入れ替えによって室内の湿度を下げる原理を利用しています。具体的には、以下の2つのメカニズムが働いています。
■湿った空気の排出
換気扇を動作させることで、盤内に溜まった湿気を含んだ空気を強制的に屋外へ排出します。これにより、盤内の水分量が減少し、湿度が下がります。
■乾燥した空気の導入
湿った空気を排出すると同時に、外部から新鮮な空気が盤内に導入されます。新しく湿度が低い空気が入ることで盤内の湿度がさらに下がります。
<換気扇付きルーバーの制御盤への取付試験結果>
下のグラフのとおり、換気扇付ルーバーを使うと、盤内の湿度は外気湿度とほぼ同じになります。換気扇で盤内を換気すると、湿気がこもりにくくなるので結露を防ぐ効果があります。しかし、外気が湿っているときは、盤内の機器も湿気を帯びてしまいます。
温度の管理
<盤用ヒーターを使用して盤内を温める>
盤用ヒーターによる湿度対策は、盤内の温度を上昇させることで相対湿度を下げ、結露を防ぐ原理を利用しています。
■空気中の水分量
■相対湿度
空気中に実際に含まれている水蒸気量と、飽和水蒸気量との比率を「相対湿度」といいます。一般的に湿度というと相対湿度のことを指し、単位は[%RH]で表します。温度が下がると、飽和水蒸気量が減少し、相対湿度が上がります。相対湿度が100%を超えると、空気中に含まれきれなくなった水分が水滴となって現れます。これが結露です。
<盤用ヒーターの制御盤への取付試験結果>
下記グラフから分かるように、盤用ヒーターにより、盤内は外気よりも温度が高くなっています。盤内の温度が高いと、空気中に含むことができる水蒸気の量が増えます。そのため、盤内では飽和水蒸気量が多くなり、相対湿度が下がって約40%RHに保たれています。しかし、盤内の温度が盤用ヒーターの発熱で10℃上がると、内部機器の動作保証温度範囲を超えてしまう可能性があるため、注意が必要です。
湿度の管理
<盤用除湿器を使用して、盤内の湿度を下げる>
除湿器の湿度対策は、空気中の水分を水滴に変えて取り除くことで湿度を下げる原理を利用しています。
■除湿器内で結露させて除湿
除湿器に搭載されたペルチェ素子の冷たい面で盤内の空気を冷やします。すると、空気中の水蒸気が冷やされて結露し、水滴となります。
■水滴を集めて排出(1)
結露した水滴は、除湿器内部に設置されたドレンパンに集められ、ドレンホースを通じて盤外へ排出されます。
■水滴を集めて排出(2)
除湿し乾燥した空気は、ファンによって盤内に戻され、循環します。
<盤用除湿器の制御盤への取付試験結果>
この盤では、盤内の水分を強制的に取り除くことで湿度を下げています。具体的には、除湿器を使って盤内の空気を乾燥させ、発生した水分をドレンホースを通して盤外へ排出しています。
この方法の利点は、外気の湿度に左右されず、盤内の湿度をほぼ一定に保てることです。湿度が安定することで、機器の安定稼働につながります。
ただし、ドレンホースを通すための穴を盤に開ける必要があります。また、除湿効果を最大限に発揮するには、盤の密閉性を高める必要があります。隙間があると、外気から湿気が入り込みやすくなるためです。
ご紹介した対策方法を、対策製品ごとにまとめました。
対策方法
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効果
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長所
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短所
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キャビネット内に溜まった |
・消費電力が低い |
・周囲が高湿度の際は |
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キャビネット内の |
・周囲温度が低い場合に |
・消費電力が高い |
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キャビネット内の |
・周囲環境に因らず安定 |
・盤を密閉にすることに |
※ご注意
今回の検証結果はあくまで一例であり、全てのケースに当てはまるわけではありません。盤の除湿効果は、盤に使用されるキャビネットの密閉度、周囲環境、対策品の種類や性能など、様々な要因によって変化します。
例えば、盤の密閉度が高いほど除湿効果は高くなりますし、周囲の温度や湿度が高いほど除湿は難しくなります。また、盤用ヒーター、盤用除湿器など、さまざまな対策品があり、それぞれ効果が異なります。当然、性能が高いほど除湿効果も高くなります。
対策品を選ぶ際は、除湿効果だけでなく、消費電力、価格、施工性、制御方法なども合わせて考慮する必要があります。省エネ性能や設置のしやすさ、使い勝手なども重要な要素となります。
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