電気自動車(EV)は、温室効果ガスの中でも特に大きな割合を占めているCO2を排出しないため、普及するメリットとして一番に挙げられるのが「脱二酸化炭素」「脱炭素化社会」推進への貢献です。
さらに、EVが普及することで得られるメリットは、それだけではありません。今回は「脱炭素化」の他にもある、さまざまなメリットをご紹介します。
EVが普及すると、脱炭素化以外にも、どのようなメリットがあるのでしょうか。
まず挙げられるのは、蓄電池として活用できることでしょう。
車を動かせるほど大容量のバッテリーを搭載しているEVは、走る蓄電池として災害時に活躍します。家庭用の非常電源としてはもちろんのこと、避難所や病院施設などでもEVのバッテリーから必要な電気機器に充電が可能です。
近年は、タクシーやバスのEV化も増えています。民間企業のEV車やEVバスを、非常時に避難所に貸与・派遣し、電力供給してもらう連携協定を結んでいる自治体もあります。
コロナ禍で外出禁止令が発令された時、交通量が減り、街がとても静かになりました。高速道路の夜間工事などでも、一般車の通行が制限されることで、その期間はとても静かになります。また、平常時でも早朝などの交通量の少ない時間帯は、静けさに包まれます。そうした機会に、普段は車の発するエンジン音がいかにうるさいものであるか、ということに気づきます。
普通自動車ばかりでなく、荷物を運搬する事業用トラックや公共交通機関のバスなど、街中を走る乗り物がすべてEVに置き換われば、とても静かな生活環境になるでしょう。
EVが普及し、ガソリン車が排出するガスが減ることで、大気汚染の解消につながります。大気汚染によって発生する光化学スモッグは、呼吸器系などの疾患を招きます。交通量の多い都会の空気がEV化によりきれいになれば、健康被害も減るでしょう。
また、救急車や介護車などもEV化により排ガスが出なくなることで、病院や介護施設などでは玄関までではなく、建物内まで進入が可能になります。患者や利用者の搬送が、格段にスムーズになり、命を守ることにもつながります。
EVの普及は、同時にインフラ(充電設備)の普及を伴います。EVインフラが普及することでも下記に挙げるようなメリットがあります。
EVで遠出や宿泊を伴う旅行の際には、充電器のある飲食店や宿泊施設が求められます。そうしたニーズに対応することで、観光客人口の増加が期待できます。
実際に、ゴルフ場やレジャー施設など、遠方からの来客を意識した充電器の設置が増えています。
EVインフラの普及は、都心部から地方に移住を希望する人へのアピールにもなります。車が必要な地域への移住で、転居をきっかけにEVに買い替える人もいるでしょう。移住したいと思っている地域にEVインフラが整っていれば、安心して移住を決められます。
EVが普及することは、脱炭素化を推進するばかりでなく、人々の日々の社会生活をより安心で快適なものにします。また、健康維持や望むライフスタイルの実現にも役立つなど、さまざまなメリットがあるのです。