コラム|EV・PHEV用充電設備|日東工業株式会社

物流におけるラストワンマイルのEV事情

作成者: 日東工業|2024年11月26日

物流におけるラストワンマイルは、顧客との接点という重要なプロセスでありながら、多くの課題を抱えています。

今回のコラムでは、物流におけるラストワンマイルとは何か、またそれに対応できるEVの登場についてお伝えします。

 

物流におけるラストワンマイルとは?

ラストワンマイルとは、英語で「Last one mile=最後の1マイル」という意味で、もともとは通信業界で使われていた用語です。

物流におけるラストワンマイルとは、最終物流拠点からエンドユーザー(生活者)にモノ・サービスが到達する最後の接点を意味し、わかりやすく言えば「最寄りの集配事業所から配達先まで」を指します。

 

物流のラストワンマイルの市場

新型コロナウイルス感染症をきっかけに、在宅率が高まりWeb通販の需要が急速に増加しました。飲食店の配達代行サービスや配食サービス、ネットスーパーの利用などが拡大し、Webショップも増えています。

そうした結果、ラストワンマイル物流市場も大きく伸長しました。

 

物流のラストワンマイルの課題

物流のラストワンマイルの市場規模が拡大したことで、市場競争は激化し、問題となっているのが配達に関わる人手の不足です。また、ガソリン価格の高騰など、物流にかかるコストが増大したことも課題となっています。

企業や個人宅に荷物を届けるドライバーは、荷物が増え、業務量が増加しているにも関わらず、収入が増えていないという実態があります。そのため、ドライバーの担い手が不足し、さらに人手不足による業務負担が増えるという悪循環に陥っています。

 

ラストワンマイルの課題解決への取り組み

物流業界の抱えるラストワンマイルの課題解決には、ドライバーの負担軽減と業務の効率化によるコスト削減が不可欠です。不在による再配達を無くすため、営業所や郵便局留め、コンビニ受け取りや宅配ボックスの活用、また配達拠点の一本化や配送管理システムの導入による効率化など、さまざまな取り組みが行われています。

 

課題解決に役立つEV

物流業界の抱える課題は、ドライバーの負担軽減や人手不足を補う配送の効率化の他にも、ガソリン車が排出するCO2や騒音の問題があります。こうした問題は、トラックをEV化することで解決できます。EVはCO2を排出せず、エンジン音が出ないため、ガソリン車に比べて走行が静かです。

大手をはじめとした運送会社で、ラストワンマイルに小型EVトラックが積極的に導入されています。

 

物流の新たな展望となるEV

2024年10月に、ホンダから軽商用BEV「N-VAN e:」(エヌバン イー)が登場するなど、物流のラストワンマイルにEVが活躍する機運が高まっています。

 

「N-VAN e:」のモデルは4タイプあり、価格は200万円台で、補助金を利用すれば200万円以下で購入できる場合もあります。

充電時間の一例を挙げると、普通充電が3.2kWで約8.5時間、6kWで約4.5時間、急速充電は50kW対応で、80%回復に約30分です。

 

運転席以外をフラットにすると、普通サイズの段ボール箱が約70箱も積載可能なスペースがあります。ブレーキングが電動サーボで減速がスムーズなため荷物が崩れにくく、繰り返し車を乗り降りするドライバーの疲労を軽減する効果もありそうです。

 

また、多品種、少ロットの配達が増えるなか、トラックよりも小さい軽乗用車は小回りも利くため、狭い道でも走行しやすいのがメリットです。

 

物流業界で小型EVトラックの普及が進められていますが、「N-VAN e:」のように、比較的安価で使い勝手の良い乗用車型の登場で、特にラストワンマイルにおける利便性が高まるでしょう。