日本政府は、2035年までに新車販売の100%をEVにする目標を掲げています。その実現の見込みはあるのでしょうか。このコラムでは、日本におけるEVの普及率、そしてEV充電インフラの現状と課題についてお伝えします。
2023年のEV販売台数は、中国が810万台、欧州が330万台、米国が139万台と発表されています。一方、同年の日本のEV新車販売台数は、軽自動車を含めて7万台となっていて、中国や欧米に比べてかなり少ない状況です。
2024年7月時点の日本のEV普及率は約2.6%程度で、大幅に増えているとは言えません。
日本でEVが普及しないのは、EV車がガソリン車に比べて高いこと、充電に時間がかかり航続距離が短いこと、充電インフラが足りないこと、などが理由として挙げられています。
日本のEV充電インフラは、グリーン成長戦略(2021年6月改定)において、2030年までに「公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置する」との目標を掲げて、拡充が進められてきました。
普通充電は、滞在時間の長い目的地(宿泊施設、ショッピングモール、など)を中心に、急速充電は、滞在時間の短い経路(自動車ディーラーやコンビニエンスストア、高速道路や道の駅mなど)を中心に整備、設置されてきました。
しかし、設置台数は伸び悩んでいて、普及はそれほど進んでいないのが現状です。
EVの普及に欠かせない充電インフラについて、2023年に経済産業省より「充電インフラ整備促進に向けた指針」が策定されました。
この指針において、「2030年までに公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラの設置目標を15万基から30万基に倍増する」と発表しています。
また、その後押しをする政策として、「V2H充放電設備・外部給電器」(EV車に蓄えられた電気を家庭で利用できるようにした設備)の導入補助金の給付なども打ち出されています。
自治体においても、EVインフラ普及のための政策が進められています。東京都では、全国で初めて新築建築物にEV充電設備の設置を義務づける条例が可決され、2025年4月に施行されることが決まりました。東京都で2025年度以降に新築されるマンションについては、駐車台数のうち、2割以上の充電設備を設置することが義務付けられます。
日本国内のEVの普及率を上げるため、国や自治体は、ここまで紹介してきたような政策を推し進めています。しかし、設置されてから10年以上が経つ充電器は、老朽化による故障が発生し始めています。また、EVの普及の遅れから、採算面を理由に撤退する業者もいて、修理やメンテナンスに困るケースも発生していることなども、課題となっています。
充電インフラの設置自体には国や自治体から補助金が出ますし、予算も拡充される見込みです。今後は、導入した充電設備に故障や不具合が起きた際の、修理や維持管理に対しても補助金などの支援制度が望まれています。
EV車購入や充電インフラ設置の際には国や自治体の補助金制度があり、税金面での優遇もあるため、EV導入へのハードルは下がってきています。また、自動車メーカーや企業に対してはEVの技術開発を促進するための研究開発補助金も提供されています。今後、充電インフラの性能の向上にも期待できるのではないでしょうか。